「ねぇディーヴァ」
私は足元を見ながら自分の妹に呼びかけた。
「なぁに、サヤ姉さま?」
そう問い返してくるディーヴァの声は本当に楽しそう。
楽しいのはいいことだと思うけれど、私にとっては少し困った状況だ。

「少し離れてくれると、嬉しいんだけど」
「どうして?」
「このままだと、靴が履けないでしょう?出かけられないよ?」

靴を履こうと前かがみになっている私の背中に、乗るようにして抱きついているディーヴァ。
これでは靴が履けないではないか。いつまでたっても、出かけることができない。

2人で買い物に行こうかと、提案したのは私。
ディーヴァがいつも部屋に閉じこもっているから、少しは外の世界も見せたくてそう言い出したのだ。
その提案に嬉しそうにうなずいてくれたから、ディーヴァも出かけることを楽しみにしてくれていると思ったのだが。

「ディーヴァは私と買い物、行きたくないの?」
「そんなことないわ。姉さまと一緒に、出かけたいに決まってるじゃない」
当たり前だと言わんばかりに、ディーヴァはそう返した。

「それなら少し離れてくれないと。私、靴が履けないよ」
「それは困ったわ。私、姉さまから離れたくないもの」
これもまた当たり前だと言わんばかりに、返される。

私は思わずため息をしてしまう。そんな私のため息にディーヴァは小さく笑った。

「何が楽しいのよ?」
「姉さまが困ってると思って」
姉が困っているのを笑うとは、なんて妹だ。

「ちょっとディーヴァ、どういうことよ」
少し恨めしく思いながら、問いかける。

「私のことで困っているのでしょう?要するに、今姉さまの中は私でいっぱいってことだわ。それが嬉しくて」

そして、ディーヴァは無邪気に笑う。
要するに、私が好きだからそういう行動になるということだから、嫌なわけじゃないけれど。

「…私のことを好きだというのは嬉しいけどね、私靴を履きたいの」
「だけど私は離れたくないの」

なんて我が侭なんだろう。そう思ったら、昔の自分がふと思い出された。
ジョエルとハジと、動物園で過ごした日々。
あのころの私は、ディーヴァに負けないくらい、我が侭だった。

やっぱり姉妹なのかな、なんて思って思わず笑ってしまった。

「姉さま?」
今まで少し不機嫌だった私がいきなり笑い出したのを不審に思ってか、ディーヴァが顔を覗き込んでくる。

一向に離れる気配がなくて、それもなんだか楽しくて。
「もう、このままじゃ出掛けられないじゃない」

そう言うけれど、なんだかとても面白くて。
ジョエルとハジと、3人で暮らしていたあの頃。ディーヴァとこんな風になるなんて、思ってなかった。
ディーヴァを殺さなければと追いかけていたあの頃。ディーヴァとこんな風になるなんて、考えてもみなかった。

今ディーヴァは私の傍にいる。殺さなければならない。そんな使命もなく、2人で笑い合える。


「私は、サヤ姉さまと一緒にいられるならどこにいてもいいわ」

その言葉に少し驚いて、そしてすぐに笑って私は言った。



「もう本当に、困った子ね」






『お出掛けしよう』






―――――――
よくわかんないから終わらせてみた。(爆)
とりあえず贈呈ED目指したんですけど、どうもディーヴァとサヤが会話してるとサヤの口調が動物園の頃のになってしまいます…。
あの頃の2人が大好きなんですよ…。