普段だってとても綺麗な人だけど。今の西園寺さんは、それ以上に、綺麗。
思わず、見惚れてしまう。

「啓太?」
「うわっ!は、はい!?」
物思いに耽っているときに呼びかけられて、とても驚いてしまった。
我に返って西園寺さんを見れば、西園寺さんは眉を顰めていて。
ああ、俺のばか。驚いてしまったとはいえ、慌てすぎだろっ

「どうかしたのか?」
「いやっ何でもないですっ」
勢いよく首を振って否定するけれど、西園寺さんは納得がいかないようで。
俺のことを真っ直ぐ見つめてくる。
…嫌な思いさせちゃったかな。
あからさまに隠し事してます、な態度を取ってしまった自分が不甲斐ない。
「あの、特に大したことではなくて本当西園寺さんが気にするようなことではないので…!」
「ふぅん…。その割には私のことを見ていたが?」
「う、」
見惚れてました、なんて恥ずかしくて言えない。

あのーそのーなんて言いながら、思わず視線を外す。
西園寺さんを誤魔化せるはずがないって、自分でも分っているけれど。
ううう。恥ずかしくて、認められるはずないじゃないか。

「私に、見惚れていたのか?」
ほら、やっぱり西園寺さんにはバレバレなんだ。
「その…」
「啓太?」
恥ずかしくて西園寺さんの顔が見れなくて、俯いてしまう。
だって、どんな顔して西園寺さんの顔見ればいいんだよ…!

そんな俺にいつの間にか近づいてきた西園寺さんが、俺の顔を覗き込みながら俺の名前をもう一度呼びかけた。
とても、優しくて甘い声。
俺の葛藤なんて、そんな西園寺さんの声で終わらされてしまうのだ。

「そう、です…。見惚れてました…。すいません」
見惚れていたとはいえ凝視してしまったのだ。不快な思いをさせてしまっただろう。

「別に謝ることなどないだろう。私だっていつも啓太に見惚れているからな」

……言われている言葉の意味を理解するのに、少し時間が掛かってしまった。
「……ええ!?西園寺さんが俺なんかに!?」
信じられない。だって俺なんか西園寺さんに比べて普通だし綺麗じゃないし特に凄いこともないし。
…うう、自分で言ってて落ち込んできた。
「なんか、なんて言うな。啓太の人を惹きつける魅力はもっと胸を張っていいことだ。それに、私も啓太の魅力に惹きつけられている一人だからな」
「さ、西園寺さん?」
言いながら顔を近づけてきた西園寺さんに少し慌てながら、俺は離れようとするけれど、後ろはソファの背もたれでこれ以上下がれない。

…近くで見て、改めて思う。
「綺麗です。西園寺さん…」
ついまた見惚れてしまう。
思わず声に出してしまった言葉に、西園寺さんは薄く笑う。
ああほら、こんな顔もとても綺麗。

「私は、啓太の方が綺麗だと思うがな」
「そんな、」
ことない、と続けたかった俺の口は、西園寺さんによって塞がれてしまう。
ほら、こんなにまじかで見ても、西園寺さんはとても綺麗。

顔を離した西園寺さんが、微笑みながら言う。
「誘ったのは、お前だからな?」
「な…っ西園寺さん!」
恥ずかしくて、叫ぶけれど西園寺さんは嬉しそうに笑うだけで。
ああもう俺の顔真っ赤だよ…。どうしてそういうことあっさり言うのかな、この人は。

「西園寺さん…」
少し拗ねながら、名前を呼びかける。それでも西園寺さんは笑い続けて。
そして一言、言った。

「ほら、啓太はこんなにも綺麗で、色気がある」
「西園寺さん…!」

恥ずかしぎる。
非難の目を向けるけど、西園寺さんは気にせず俺に近づいてきた。

色気があるのは、西園寺さんの方ですよ。
西園寺さんはとても綺麗で、俺はさっきからドキドキが止まらない。
心臓バクバクいって、顔も赤くなっちゃうし。
やっぱり俺、西園寺さんが好きだなぁ、なんて改めて思う。
そう思ったら何だか嬉しくて。

目を瞑って、西園寺さんに抱きついた。
西園寺さんの少し湿った髪の毛が頬に当たる。

西園寺さんがいつも使っているシャンプーの匂いが、何だかくすぐったかった。





『シャンプーの匂い』



――――――― 
お風呂あがりの郁ちゃんはセクスィーね!って話です。
アニメ学ヘヴのお風呂郁ちゃんがとてもせくすぃーだったので…!(笑)
西啓です。七啓をまだ書いていないのに西啓に挑戦です。(笑)
七啓書きたいなー。