些細なことが、とてもとても嬉しくて。


『相性占い』



「あら」
雑誌のページをパラパラとめくっていた手を思わず止めた。
目に入ったのは『相性占い』という文字。
前の自分ならば気にもとめなかっただろう。だけど今この文字に反応してしまったのは、気になる相手がいるからで。

気になるのだ。
例え紙に書かれた、根拠があるのかないのかよくわからない物だとしても。

少しドキドキしながら質問に答える。

相手はもちろん片思い中の彼だ。
出逢った頃から喧嘩ばかりしていたので、今更告白、というものが出来ないのだ。
それに彼とは顔を合わせるたびに喧嘩。(いや、そんなにしょっちゅうじゃないけど)(物の例えってやつよ)
恋愛感情があるわけ、ない・・・と思う。

どうして私は、好きなのかしら・・・ね?
苦笑しながら質問に答え続けた。

喧嘩するたび心が痛むけど、嬉しくて。
仲直りするたびに嬉しくて、だけど喧嘩して喜んでいる自分に罪悪感。

多分アナタは。とても怒っただろう。気分を悪くしただろう。
それでも仲直りできるのは、ハリーという彼の親友のおかげだろう。

「申し訳ないわね・・・」
苦笑しながら呟いたらもう質問は終わっていて。

少し緊張しながら結果を見る自分に苦笑を浮かべる。
たかが占いなのに、どうしてこんなに緊張するのかしら?

だけどやっぱり、たかが占いでも、気になるのだ。
良い結果が出たから、彼と付き合えるとか。
悪い結果が出たから、彼と付き合えないとか。
そういうわけではないのだけど。

でもやっぱり――






「ハーマイオニー?」
呼びかけられて読んでいた本を閉じて彼を見る。
「何?」
「こっちのセリフだよ。何かあった?」
ハリーと一緒に談話室に帰ってきたロンが、私が座っているところの近くのソファに座って尋ねてきた。
彼の言葉を聴いて、少し驚く。

そんなに顔に出てたかしら?
「別に?何もないわよ」
驚いたけど、今は本当に機嫌がいいので隠そうともせず笑顔で答える。

「えー。じゃあ何でそんな嬉しそうな顔してるんだよ?」
教えてくれないことに少し不満気味なロンが、さらに尋ねてくる。
「そんなことないわよ」
そんな彼の態度が可愛くて、また笑ってしまったのだけど。

「・・・そんな顔されたら気になるじゃないか」
ねぇ、ハリー?なんて隣りにいるハリーに話かけたけど、今まで私たちを無視して本を読んでいたハリーの答えはなんとも言えないもので。
というかロンは軽くあしらわれて。

「・・・何なんだよ」
不機嫌そうに聞いてくる彼がやっぱり可愛くて。重病かしら?なんて思ってみたり。

「はい」
近くに置いておいた、先ほどまで読んでいた雑誌をロンに手渡した。
「これ読んだら、機嫌よくなるかもしれないわよ?」
悪戯っぽく笑って、閉じていた本を再び開いた。

不思議に思いながらも読み始めた彼に、本で隠しながらも微笑む。




たかが占い、なのだけど。
でもやっぱり、結果というのは気になるもので。

『ベストカップル』
という言葉に喜ばないわけ、ないじゃない。



こんな些細なことでこんなに喜べるなんて、やっぱり重病ね。
苦笑しながら雑誌を読みふける彼を本の陰から覗き見た。



こんなにも、アナタが大好きよ?








驚きの声をあげて、彼が取り乱すのは、10分後。







――――――――
こんなロンが可愛い(笑)
ブラックハリー万歳!(笑)
驚いたのはロンが相性占いをやったからですよ。
ハーちゃん好き(だけど自覚無し)なロンさんは何となく相性占いをやってみたのだけど。
こんな答えになるとは思ってなくてちょっと驚きと嬉しさ、みたいな感じで慌ててみたり。