気づけば、必ず回りにいる3人。 人と接するのなんて苦手だったのに、いつからオレは他人といつも一緒にいるようになったんだろう。 緩む頬を引き締められなくて、一人で小さく笑ってしまう。 「シリウス?何かあった?」 いきなりジェームズの顔が目の前にきて、少し驚く。 「っつかお前近づきすぎ」 「えー。別にこれくらいいいじゃない!」 勢いでジェームズが腹に抱きついてきた。 「ちょっ!ジェームズ!!離れろよ!!」 「えー」 「えー、じゃない!離れろ!お前ここどこだと思ってるんだよ!?中庭だぞ!?」 「周りにはたくさん人がいるね。例えば僕とかピーターとか」 本を読みながらリーマスが呆れた声を出した。 オレたち2人がリーマスに視線を向けると、リーマスは本から目を離す。 「煩いよ、シリウス、ジェームズ。ここは公共の場なんだから、もう少し周りの迷惑考えなよ」 「う…。だってジェームズがっ!」 「そんなことないよねぇ?ピーター。にぎやかで楽しいよね?」 「えっ!?えーっと、その…」 「脅さないでよ、ジェームズ。ピーターが怯えてるじゃないか」 「酷いよ、リーマス!僕脅してなんかいないじゃないかっ!ねぇ、シリウス!?」 「オレに話題を振るな!ってか抱きつくな!」 オレの身体に回す腕に力を込めたジェームズは、何を言っても放してくれない。 「とにかく、いちゃつくなら余所でやってよ。煩わしい」 「うわー。見事なまでに冷たいお言葉だね!」 「別にいちゃついてなんかいないっ!」 「ちょ……3人とも落ち着いてよ!」 ぎゃーぎゃー騒ぎながらも、オレは自然と笑顔になっていく。 いつからオレは、こんな風に人と会話できるようになったんだろう。 「シリウス?本当に何かあったの?大丈夫?」 笑っているオレを見て、驚いた顔をしながらリーマスは言った。 リーマスの言葉に、ジェームズもオレから離れてオレの顔を見る。 「また笑ってる。本当にどうしたんだい、シリウス。君が何も無いのに笑うなんて珍しいよ」 「どうかしたの、シリウス?」 心配そうに見てくる3人が、なんだか嬉しくて。 自然と笑みが浮かんでくる。 ふと気づけばいつもいてくれる、この3人が大好きだ。 「何やってるのよ、貴方たち」 きっと先ほどから見ていたのだろう。怪訝そうな顔をしたリリーが気づけば後ろにいて、問いかけてきた。 「リリー!奇遇だね!こんなところで逢えるなんて!」 「リリー、どうしたんだよ?」 ジェームズの言葉を無視して問いかける。 「こんにちわ、ジェームズ。どうしたかって問いかけたいのは私の方よ。図書館に行こうと思って歩いていたら騒がしい声が聞こえてくるし。かと思えばいきなり静かになるし。何かあったの?」 見ればリリーの手には本が抱えられていた。 少し前から読んでいると言っていた本だ。きっと、読み終わったんだろう。 「なんかシリウスの様子がおかしいんだよ」 ジェームズがそう告げる。リリーはオレを見て、眉を寄せた。 「別に、いつも通りだと思うけど」 「一見するとそうなんだけどね。なんかさっきから一人で笑うんだよ」 「……どうかしたの、シリウス?ジェームズのバカがうつった?」 「それは僕も馬鹿にされているということなのかな、リリー?」 「あら。貴方がバカなことは大分前から証明されているでしょう?」 「そんなに前から僕のことを気にしていてくれたんだね、リリー!」 2人で騒ぎ出したリリーとジェームズはいつものことなのでほっとく。 「…それで、本当にどうしたの、シリウス?」 リーマスとピーターがオレを見つめてくる。 別に、心配するような内容じゃなくて。 「ただちょっと、幸せだなぁって思って」 そう言えば、全員が驚いた顔をしてオレを見た。騒いでいたはずのリリーとジェームズまでも、驚いて固まっている。 そして一斉に吹き出した。 「な、何だよっ!?」 なんだか恥ずかしくて、思わず顔が紅くなる。思ったことを言ったのに、何故笑われなければならないのか。 「シ、シリウスってさ」 笑いながらリーマスが言った。リーマスの瞳には笑いすぎた所為で、涙が浮かんできている。 「可愛いよね、本当に」 「そこがシリウスのいいところなのよね」 ジェームズとリリーが笑う。 「僕も、」 笑いながらピーターが言う。 「幸せだよ」 ジェームズとリーマスとピーターとリリーが声を合わせて言った。 ああ、もう、本当に。 愛って本当に素晴らしいものだね。 ―――――――― ハリポタ映画公開おめでとうございます! キャラ掴めてない感が漂っててなんとも痛々しい小説ですが、おめでとうございます。(何 |