空なんてものは。いったい何年見ていないのだろう。



『青い空の下で』




ポッター家を裏切ったとして罪人となりアズカバンに閉じ込められて、一体どれだけの月日がたったのだろうか。
どれだけ陽が昇り、そして沈んだのだろうか。
その太陽を見る術もなく。月日を数える術もなく。
真っ暗で、何もない。聞こえるのは囚人たちの呻き声。吸魂鬼独特の音。
幸せなことは、奴らに吸い取られる。
生憎、オレは幸せじゃないんでね。
そう心の中で毒づきながら、天井を見上げた。
長いこと見ていない空を懐かしみながら。



嗚呼、君は。そこにいるのだろうか。




長いこと逢っていない、親友の顔を思い出す。
「ジェームズ・・・・」

『何やってるんだい、こんなところで』
彼の名前を呟くと、彼の声が聞こえてきたような気がして。
どこか呆れながら言う彼の顔が今目の前にあるような気がして。


「・・・昼寝だよ」
そう掠れた声で呟く。
今も忘れることができない。今も自分の中で生き生きとしている。

『こんなところで寝てたら風邪ひくよ』
手を差し伸べてくる彼。





「・・・・・ジェームズ・・っ」
知らずに目には涙が溜まっていた。

『何だい?』
シリウスはそれ以上言葉を続けることができなかった。
俯いて、溢れ出てくる涙を、止めることなく。とめる術を知らず。
ただただ昔を懐かしんだ。
彼を死なせてしまった自分を、憎んだ。













「シリウス」
木に寄りかかって寝ていたところをジェームズの声によって起こされた。
最初はただ一人になりたくて、誰もいないこの木の陰に来て一人の時間を満喫していたはずだったのだが、いつの間にか寝ていたらしい。
目を開けて、その人物を確認して、名前を呟く。
「ジェームズ」

「何やってるんだい、こんなところで」

何って・・・。そう呟きながら、身体を伸ばす。
すっきりしたところで、先ほどの問いに答えた。
「昼寝だよ」
見てわかるだろ?
とでも言いたげに、シリウスがジェームズを見上げる。

そんなシリウスの態度に苦笑しながら、そして呆れながらジェームズは言う。
「こんなところで寝てたら風邪ひくよ」
そう言いながら手を差し伸べてきた。
一緒に行こうと、態度でしめしてくる。
一緒にいようと、伝わってくる。

彼の手を取って立ち上がった。
「本当にまったく君は。いきなりいなくなるんだもの。こっちの身にもなってよね」
探したんだよと少し怒りながらジェームズは言った。
シリウスがいきなりいなくなって、ジェームズが探して文句をし言う。なんてことはいつものことなので。
ジェームズがたいして怒っていないことはわかっているので、シリウスは空を何となく見上げて。

「ジェームズ」
そう彼の名を呟く。

「何だい?」
シリウスの顔を見つめながら問いかける。

シリウスは視線をジェームズに向けて、そして笑って答える。
「今度はどんな悪戯しようか」
シリウスの言葉にジェームズも悪戯っぽく笑って。
「そうだね。今度は飛び切り凄いことをしてやろう」

「フォークス盗んでくるとか」

「それだと校長室に入らなきゃいけなくなるじゃないか」

「あっ。それは嫌だなぁ・・」







そんな話しをながら、青い空の下を歩いていった。
友達が居る、談話室へ、一緒に戻ろう。








青い空のもとに。いつも一緒に居た、彼のもとに。


今すぐに行けたらいいのに。







――――――――
うちのシリウスは空が好きなのでしょうか。(苦笑
多分私が空が好きだからこんなことになっちまうのだと思われます。
シリウスさんは、お友達と騒いでいるのも好きですが、たまに無性に独りになりたくなるときがあるのだと思います。(ビバ☆妄想)
いつも家族が煩かったし、周りはブラック家の長男ってことで煩かっただろうからいつも一人になりたかったのですよ。
お友達が出来てもそんな感じで!(何
あと校長室はあの絵があるので嫌いなのです(笑