図書館の奥の方に、あまり生徒が近寄らない場所がある。
広い図書館の奥だからかそこにおいてある本が高度な為か。
理由は知らないが、要するにそこには生徒は滅多にいないのだ。

どうやらそこは、彼のお気に入りの場所らしい。

本棚を横切って窓の近くの椅子と机を見れば、案の定彼がいた。
「シリウス」
呼びかければ、本を読んでいた彼が顔を上げて私を見る。
そして、薄く笑いながら言った。
「リリーか。どうした?」
笑いかけてくれたことが嬉しくて、私も笑顔を浮かべた。
近づいて、隣の席に座る。
人を近づけたがらないシリウスだけど、こうやって私が隣に座ることを嫌がったりしない。
そのことが、とても嬉しい。

「特に用はないんだけど。ただシリウスに逢いたくて」
「何だよ、それ?」
シリウスが笑いながら答える。迷惑がっている訳ではないのだろう。だって、なんだか楽しそうだ。

嬉しいなぁ、と思う。
楽しそうに笑う彼が私の目の前にいる。
笑顔を、私に向けてくれる。
前までは遠くで見ることしか出来なかった、その笑顔。

「だって、本当に逢いたかったんだもの」
折角傍にいることを許してくれるようになったのだから、少しでも長い間傍にいたいのだ。
するとシリウスは頭を軽く掻きながら、言った。
「そっか」
少し素っ気無い態度だけど。もしかして。
「…照れてる?」
笑いながらそう問いかければ、少し不機嫌な彼と目が合う。
「うるさい」
そう言う彼の顔は、少し赤らんでいて。
ほら、やっぱり照れてるんじゃない。

「シリウス可愛いー」
「うさるい。お前もそんな恥ずかしいこと本気で言うなよ」
「だって、本当のことだもの」
拗ねている唇を尖らせているシリウスがまた可愛くて、くすくすと笑ってしまう。

ああもう本当に。
「嬉しいなぁ」
「何がだよ?」

「そういう風に、私の呟きに返事してくれることも、凄く嬉しいわ」


シリウスが私のこと拒まないで傍にいさせてくれることが。
私の言葉に照れていることが。
呟きに返事をしてくれることが。

とても嬉しい。


ねぇシリウス。私、今とても幸せ。






『Happy』





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リリシリー。付き合ってるようでまだリリーの片思い編です。(笑/ぇ
両思い編書こうと思ったんですけど…なんだか気に食わないことになったのでやっぱり片思いで。(笑)
リリーとシリウスがお友達まで仲良くなったころのお話です。