「勝負をしない?」 彼のいきなりの言葉に、眉を顰める。私は読んでいた本を閉じて、彼と視線を合わせた。 「いきなり何?」 顔の横に垂れてきた髪を耳にかけながら問う。 すると彼は楽しそうに笑って言った。 「勝負というか、賭けみたいなものだけど」 「だから、いきなり何なのよ?」 答えになっていない彼の答えに、また眉を顰める。 何故いきなり、私とポッターが勝負などしなければならないのだ。理由がわからない。 少し睨みながら見つめたら、ポッターは笑いながら言った。笑っていると言っても、それは口元だけで、目は少しも笑っていない。 「シリウスの気持ち、そろそろはっきりさせたいんじゃない?」 彼の言葉に、思わず反応してしまった。彼を睨みつける。 「だから?」 私がシリウスが好きなことを彼は知っているし、また彼がシリウスに対して私と同じ感情を持っていることも知っている。 だからより一層、私は彼が好きになれないのかもしれない。 …シリウスのことがなくても、こんな態度の人を好きになるとは思わないけど、と心の中で付け足しておく。 彼を見つめているときは信じられないくらい優しい目をしているのに、私に対してはいつも顔は笑っていても、目だけ笑っていない。 そんな彼に、好意なんて持てるはずがないのだ。 ひたすらに睨みつければ、彼は少し皮肉めいた顔をして。 「僕たちが仲良くしたときに、シリウスはどっちにやきもちをやくのかな、って」 彼の言葉が理解できず一瞬呆けるが、言葉の意味に気づいて軽く吐き気がした。 「貴方と付き合えってこと?」 「ふりだよ、ふり。本気でなんて、出来るはずがないだろ?」 「ふりだって、嫌よ」 「随分な言われようだね」 肩をすくめて苦笑する。 冗談じゃない。私は彼と一緒にいるのすら苦痛なのに。 心底嫌だと態度に出してみても、引く気は無いらしい。 眼鏡を直しながら、私を煽るように笑った。 「面白いじゃないか。シリウスが僕に対してやきもちをやくか、君に対してやきもちをやくか。これではっきりする」 「はっきりさせてどうするのよ?」 「それはその後考えればいいだろう?どうだい、僕と勝負をしない?」 私と彼の、最初で最後の勝負。 確かに彼の言うとおり、シリウスの気持ちをはっきり知りたいと思う。 シリウスの行動を待とうと思っていたけれど、そろそろ我慢の限界だ。 「なるほど。それは賭けでもあるわね」 「君にいくか僕にくるか。かなりのスリルだろ?」 楽しそうに、私に笑いかけてくる彼の瞳を真っ直ぐ見つめた。 …面白いじゃない。 私も顔を緩めて、笑う。目は、今までと同じ好意なんて欠片もない、冷たいものだけど。 「いいわ。乗るわよ、その勝負」 彼もまた、私と同じように笑う。 「それじゃあ、健闘を祈るよ」 「あなたもね」 これからが、彼と私の大勝負。 『彼と私の勝負』 ―――――――― ジェームズとリリーはこんな関係だとときめきます。(ぇ 本気で嫌い合ってればいいと思います!(笑)いや、2人ともシリウスが好きすぎるだけなんです。(笑) リリーはポッターを本気でうざがってればいい。ジェームズはものすごく腹黒いといい。 ハリポタ新刊祝いのつもりだったのにめちゃくちゃ暗くなっちゃいました!(笑/ぁ |