「君は落ち着きがなさすぎる」
最近見つけた隠し部屋で一人で本を読んでいたら、ジェームズがやってきた。
…一体どうやってこの部屋を発見したんだ。
この部屋のことはリーマスにもピーターにも、もちろんジェームズにだって一言も言っていなかったのに。
いきなり現れたことにも驚いたが、いきなり言われた言葉にも驚いた。
「はぁ?」
意味がわからなくて、首をかしげる。
俺、そんなに落ち着きないか?今までのホグワーツでも自分の行動顧みる。
「…むしろ落ち着きないのって、お前の方じゃないか?」
俺の記憶だと、俺よりもジェームズのほうが活発に行動していたと思うが。
そりゃあ一緒に悪戯をしたりして俺も動き回ってはいるけれど。
だけどそれならば、ジェームズだって落ち着きがないことになるじゃないか。

「シリウスは、いつもいつも気がついたらいなくなってるじゃないか!」
少し声を荒げながらジェームズが言う。
怒ってる、のか?
怒る、とまではいかないとしても、ジェームズが不機嫌なことに変わりないだろう。

「たまに、だろ。ただ本が読みたくなったから…」
「それなら僕の傍で読めばいい」
言い訳のように出た言葉は、すぐに遮られてしまう。
その言葉に、少し、むっとしてしまった。
「一人で読みたかったんだよ」
「僕は君と一緒にいたいんだ」
「…一人になりたい時だってあるだろ」
「僕は、シリウスとずっと一緒にいたい」

こういう言葉は、未だに慣れなくて、困る。
決して迷惑というわけではない。嫌だとは感じない。
だけど、返答に困ってしまう。

ジェームズと、いるのは苦痛ではない。むしろ、傍にいられるのは嬉しいと思う。
だけど時折、一人になりたいと思う時があるのだ。
それは多分、昔からよく一人でいたために、一人でいることが習性になってしまったのだろう。
まぁ、一人でいると気が楽になるっていうのもある。

ジェームズたちと一緒にいるのは苦痛ではないが、まだ慣れないのだ。
多分、ジェームズはそんな俺のことを気遣ってくれているんだと思う。
ふらりといなくなる俺を、探してくれるジェームズ。
「悪かった」
申し訳なくて謝ると、ジェームズは仕方なさそうに笑って。

「謝るくらいならいきなりいなくならないでくれ。…僕の傍にいてくれよ」

ジェームズに逢うまで、そんなセリフを言われたことなどまったくなかった。
何度言われても、少し困る。

「ば、顔近づけながら恥ずかしいこと言うな」
「シリウスが顔赤くなったのは、僕の言葉の所為?それとも顔を近づけたから?」
「うるさい馬鹿」


だけど、そんな困るセリフを嬉しいと思ってしまうのだ。





『ねえお願いだから一人にならないで』





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ジェシリ書こうとしたんですけどなんかジェ→シリになったので修正しようとしたら微妙なことになりました…!(爆
いまいち溶け込めないシリウスさんを、ジェームズが無理やり溶け込ませればいいと思います。ジェームズがいたから元気なシリウスさんになれたんだよ。