学校の中庭にある泉に足をつける。
キラキラと輝く水面が、とても奇麗。
思いっきり右足を振り上げた。
辺りに水しぶきが飛ぶ。私の顔にも少しかかってしまったけれど、気にしない。
寧ろ、冷たくて、気持ちがいい。
夏の日差しが、眩しかった。


「だから、シリウスはさ」
聞こえてきた声に反応してしまう。声、というより、聞こえた来た名前にだけど。
「そこですぐかっとなるのがいけないんだよ。もう少し大人になりなよ、僕みたいに」
「大人ぁ?お前がぁ?」
「ジェームズみたいになっては欲しくないけど、でも少し大人になったほうがいいと思うよ。そこで怒るからこんな大事になっちゃうんだよ」
「んなこと言われても。悪いのはあっちだろ?」

少し不機嫌そうな彼と、苦笑しながらも楽しそうにしている彼の親友と、優しげに微笑む仲間と、彼の不機嫌さにおろおろしている友達と、いつもの4人。
ドキっと心臓が高鳴る。
彼に、目がいってしまう。

私がいる場所から、遠く離れた廊下を歩く4人。
私の方なんて、見向きもしないで進んでいく。

彼に見て欲しいけれど、見て欲しくないから、それでいいのだけど。
矛盾した気持ちに苦笑しながら、彼を見つめた。

「だから、バレないようにやればいいんだって。魔法薬学の時に鍋に何か混ぜてみたりさ」
「魔法史の時間に顔に落書きするとか」
「それいいね、リーマス」
「有難う、ジェームズ。ジェームズのもいいと思うよ」
「そこで2人で意気投合されても困るんだけど」

話していることは少し悪いことだけど、彼らはとても楽しそうに笑っている。

本当に実行する気なのかしら?
魔法薬学の時間の話は出来ればやめてほしい。授業に支障をきたしてしまうではないか。

でも。

悪戯をしている、彼が好き。
その時の、心から楽しそうな笑顔が好き。

そんな顔が見れるなら、別にいいかなぁなんて思うなんて。
苦笑して、水の中で足を軽く動かした。
水が、小さく揺れる。



水は冷たくて、気持ちいい。
夏の日差しが、眩しい。
だけど、それも気にならない風にさせる、貴方。
会話をしたわけではないけれど、ただ見れただけでこんなに幸せな気分にしてくれる貴方は、本当に不思議。

次の悪戯はいつなのかしら、と呟きながら一人で笑った。


なんだかとても、甘い気持ち。





sweet








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とにかく片思いリリーさん。


ハリポタ炎のゴブレット公開まであと1日♪