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「ねぇユーリ」 テーブルに肘をついて、遠くを眺めている魔王の後ろ姿に声をかける。 「なんだよ」 すると彼はそのままの体勢で、億劫そうに答えた。 わたしの方なんて、見向きもしないで。 そんな彼の態度にクスっと小さく笑って、続けた。 「何を見てるの?」 「…何も見てないよ」 そういう彼の視線は、一転をとらえたまま動かない。 わたしは顔の横に垂れてきた髪を耳にかける。 「嘘つき」 何も見てないはずないのに。 「…嘘なんかついてないよ」 「本当は、見てるくせに」 今はここにいない、彼を。 今はユーリの遠くに行ってしまった、彼を。 視線の先は、ただの木だけど、本当は近くにいない彼のことを見ているのでしょう? 彼のことを、想っているのでしょう? 「…何を?」 自分でわかっているはずなのに、誤魔化すためかそう問いかけてくる貴方が、癪に触る。 クスっとまた小さく笑いを零して、彼の両目を覆うように手を出した。 「わたしが気づいてないと思った?」 視界を遮られてたのに、ユーリは身じろぎ一つしないで、そのまま応えた。 「…何を?」 「全部、だよ」 貴方の気持ちも、貴方の全てを。 「…わたしのものに、なればいいのに」 消えそうな声で囁く。本当に小さな声で、普段なら届かないかもしれない言葉は、視界を遮られて聴覚が敏感になっている彼にはちゃんと届いただろう。 だけど、聴こえないふりをする貴方。 なんの反応をしめさない彼がまた癪に触って、わたしは小さく笑った。 「ユーリ」 「なに」 可愛げのない反応だね、なんて心の中で笑う。 僕に感情を向けようとしない貴方。 そんな貴方が憎らしい。 「わたしは、貴方を殺したいほど好きだよ」 「……殺したら意味ないじゃん」 返事が返ってくるとは思っていなかったので、おや、と少し驚く。だけどまた顔に笑みを浮かべながら、言った。 「そんなことないよ。そうしたら、ユーリはわたしのものになるでしょう?」 他のものなんて、見えなくしてあげる。 視界なんて貴方から遮って、わたししか感じられないようにしてあげる。 「死んだら何も感じられない」 「いいや、感じるよ。魂が感じる」 そしてずっと、わたしだけを感じさせてあげる。魂のある限り、ずっと。 「魂はとても脆いものだから、わたしが大切に扱ってあげるよ。永遠に」 「永遠なんて言葉、嫌いだ」 「不確かだから?」 感情を滅多にださないユーリが嫌いという言葉を発したことに少し驚きながらも、すぐに彼が発したことがあるのだろうなと気づく。 ユーリが感情を出すのは、彼に関するときだけだ。 わたしに問いかけに息を詰まらせたユーリに、わたしはまた一つ笑みを零した。 分かりやすくて、やはりそんな貴方が憎らしい。 「永遠に、わたしはユーリと一緒にいるよ」 「うるさい」 「魂になっても、一緒だ」 「うるさい」 ああ本当に、そんな貴方が癪に触る。 それ程に。 「それ程に、わたしは貴方が好きだよ、ユーリ」 わたしだけしか感じられないようにしてあげる。 永遠に。いつまでも。 『貴方の世界はわたしだけ』 ―――――――― 腹が立つほど好きってことなんです。 箱マ読んでサラユ熱が燃え上がりまして。(笑) |