いつものジャージに着替えて、朝日が眩しい外に飛び出した。


『朝のロードワーク』



川沿いに、走っていく。
太陽の日差しは、少し熱い。
流石に真夏だからか、朝だからといって太陽は容赦なくて。
その日差しの所為かいつもより多い汗。
彼だったら、こんな日差しの中でも涼しい顔で走るんだろうな。
そう思うと悔しくて、ついつい足が速くなってしまう。

『そんなことするとバテますよ』
どこからともなく聴こえる声。
…聴こえたような、声。
「これぐらい何ともねーよっ」
空を漂う雲に、そう告げる。

まだ活動を始めていない静かな時間。
川の流れが涼しげで。
吹いている風は、夏独特の生暖かいもので。
何だか、気持ちいい。

彼は今頃、何をしているのだろうか。
おれなんかより早くに起きて、城の見回りなんかをしているのかもしれない。
あのいつもの爽やかな笑みで、城中の人々に朝の挨拶をしているだろう。
おれがあっちにいたら、一緒にロードワーク。



「…寂しいなぁ…」



後ろをついてくる人物がいないことが。
視線を合わせたときに、微笑み返してくれる人物がいないことが。
汗だらけのおれを、気遣ってくれる人物がいないことが。


後ろの誰もいない、何も空間を見てポツリと呟いた。




一緒に走りたいな。






+++
突発的。(何