どうして、と問いかける。
世界に、自分に、目の前の相手に。

どうして、こんなことになってしまった?

俺はどこで、間違ってしまった?

「だい、じょうぶか…?」
息も切れ切れに、目の前で横たわっている人物が俺に問い掛ける。
「俺よりも貴方でしょう!どうしてこんな無茶なことするんです!?」
明らかに自分の方が無事ではないのに、俺の心配をするなんて、馬鹿げている。
どうして貴方は、自分のことより他人を優先させるんですか。

俺は目の前の人物に手を伸ばす。小さな呻き声と、手につく紅い血。
「どうして、俺なんか助けるんですか!?俺は貴方の敵でしょう!?」
このことは貴方だって分かっていたはずなのに。

「敵なら、……泣くな、よ…」
ユーリが手を伸ばして、俺の目元に触れる。俺はその手を握り締めて、彼を見つめた。
「どうしてこんなこと…!」
今俺は貴方の敵で、あんなに色々と貴方が傷つくことを言ったのに。
差し延べてくれた手を握り返さなかった俺なんか、どうして今も気にかけるんですか。

「コンラッドが、無事で……よかったよ……」
掠れるような声で、彼はそう言って微笑んだ。少し辛そうに眉を顰めながら。
そんな彼を見ているのが嫌でしょうがない。

「どうして…!俺の心配なんかするんですか!?俺なんか放っておけばいいでしょう!?」
どうして俺なんかを庇うんですか。俺なんかを庇ってそんな大怪我して。
治療をしたいけれど、傷は大きい。助けを求めたいけれど、辺りには誰もいなくて、近くに村もない。医者もいなければ、魔族もいない。
無力な俺に、何ができる?

悔しくて、涙が止まらない。

「コン、ラッドのこと……放っておけるわけないじゃん……」
消え入りそうな声で、この場に俺とユーリの二人きりでなければ届かないだろう。

「どうして……俺は、貴方の敵ですよ……」
悔しくて悔しくて、彼の顔が直視できない。思わず俯いてまうけれど。
「コンラッド……」
顔を上げるよう名前を呼びかけられ顔をあげると、彼は微笑んでいた。

「俺は、信じ…てる、よ……コンラッド…のこと…」
「……っ」
澄んだ黒い瞳から、目が離せない。俺が握り締めていたユーリの手が、緩やかに握り返す。

「ユーリ…っ」
呼びかければ、ユーリは嬉しそうに笑って瞼を閉じた。
「いい……名前、だなぁ……」
言うと同時に彼の身体から力が抜ける。

「ユーリ…」
名前を呼ぶけれど、反応はない。

「ユーリ…っ!」
涙で視界がぼやける。彼の手を握り締めるけれど、もう握り返してはくれない。

「ユーリ、ユーリ…っ!!」
ユーリの身体に顔をうずめる。鉄の臭いがより強く感じられて。

「ユーリ……」

静けさが、痛かった。
長いこと冷たくなっていく体温に顔をうずめた後、彼を刺した剣を手に取った。







『どうして、と問い掛ける』



―――――――
そして2人は永遠の楽園を築きましたトサ。(全て打ち壊し)
そんなのってあんまりだっていうかなんでユーリに庇われてるんだコンラッドのバカー(ヴォルフ風味
いや…なんか命の危機っていうとグウェンとユーリの愛の逃避行物語が浮かんでしょうがなくてですね…。(ぁ(裏元祖大脱走。


うーん。書いてから思ったんですけど、コンラッド泣かせない方がよかったですかね…。
泣かなかったばーじょん行ってみよー。(ぇ
泣かなかったばーじょんはこちらです。