『泣いた顔』



「コンラッドってさ、いつも笑ってるよな」
「……なんですか、いきなり」
本当にいきなりで、少し驚く。場所は廊下。向かうは俺の部屋。というか、俺の部屋にあるグラブとボールを取りに向かっている。

「いや、なんかふと思って」
ユーリがポツリと言った。

「考えてみるとさ、コンラッドって大抵笑ってるんだ。そりゃ…おれがなんか無茶なことしたりしたら怒るけど…だけど、一番多いのは笑顔なんだよ」
「…そうですか?」
「そうなんだよ」

俺のことを考えてくれてたのかと思うと、嬉しくて、つい顔が緩んでしまう。

「あ、ほら。また笑ってる」
それは貴方があまりにも愛おしいからですよ。なんて言ったら、ユーリは照れて怒りそうだから、言わないけど。

「そうですか?」
「そうなの!何、自覚無し?」
「いえ、一応自覚はしているんですけど」
顔が緩んでいるのは、自分でも解る。幸せで、愛おしくて。

「…コンラッドの泣いた顔って見たことないなぁ…」
「……ここ何年か泣いてませんからね」
「え、コンラッドも泣いたことはあるんだ!」
そこで驚かれても。

「俺だって泣いたことくらいありますよ」
「いつ!?どうして!?何で?もしかして、意外にもタイタニックに感動して!?世界の中心で、愛を叫ぶを観に行ってティッシュ1袋使っちゃったとか?!」

「違いますよ」
何のことを言っているのかわからないけれど、多分あっちの物なのだろう。
見たことも、聞いたこともないから、それらで泣いたことは勿論無い。

「それじゃ、何でだよ?」
期待たっぷり、という表情で見上げてくるユーリを見て、少し考えてから微笑んだ。
「秘密、です」
「うわー。酷ーい」
ユーリは頬を膨らまして、少し拗ねる。
その膨らんだ頬を、つつきたいと、不謹慎ながらも思ってしまう。

だけど、その頬のふくらみもすぐ引っ込められて、笑顔になる。
「ま、言いたくないんならいいんだけどさ。あーあ。コンラッドの泣き顔、一度でいいから見てみたいなぁー」
表情がコロコロ変わるユーリが可愛くて、自然と顔が微笑んでしまうのだ。

「多分見れないと思いますよ」
「何だよ、その余裕。つまんないのー」

そう言って少し拗ねるユーリを見て、俺の頬は緩まるばかり。

「着きましたよ」
「あ、ホントだ」
拗ねているユーリに、そう言えば、ユーリは気づいていなかったようで少し驚いて。
そして俺が開けたドアを通って中に入る頃には、眩しい笑顔。

「早くキャッチボールしようぜ!」
棚に置いてあるグラブとボールに駆け寄って、大事そうに抱えて。
オレに眩しい笑顔を向ける貴方。


俺だって、人間なんだから、泣いたことくらいあるんですよ。
最後に泣いたのは、生まれたばかりの貴方を見たとき。
ガラスの向こうで沢山の赤ん坊に囲まれながら、力強く、泣いている貴方に、生きているということを実感して。


多分。これから俺が泣くとしたら、貴方に何かあったとき。
でも、貴方に何かあるときは、俺は貴方の傍にいないでしょうから。
残念ながら、泣き顔は見せられません。




「久しぶりですね。キャッチボールするの」
答えながら、俺も笑顔を向ける。

「本当だよ!な、早く行こうぜ!」
「後ろ向いて走ると転びますよ」
「大丈夫だよ!」


貴方に笑顔を向けてもらえて、貴方に笑顔を向ける。
俺が笑顔でいられるのは、貴方のおかげ。




――――――――
コンラッドが泣くのはユーリに何かあったときで、でもそうなるとしたらコンラッドはユーリを庇って死んでますよっていうことが言いたいんだと思います。彼は。(何
命がけでユーリを守りますよ。ってことだと…。


…ファイル名が『れっつボツ!』で、何だろうと思って開いてみたら、
ユーリの「何だよ、その余裕〜」
まで書いてあるこれを発見しました。
っつかそこまで書いたんなら最後まで書こうよ、私…っ!!
続きが気になりました。(笑)だけれど最後どうしたかったのか思い出せず。
……頑張って続けてみました。(笑/何
昔の私はボツにしたかったらしいけど、載せてみます。(笑/ぁ