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『おれからの』 だってさ。コンラッド何もしてこないから。 ちょっと…不安になっちゃったんだよ。 コンラッドの部屋で二人きりなのに、彼はただ俺の頭を撫でながら笑顔みでおれの話を聞いているだけ。 これじゃまんま親子じゃん、とか思っちゃった自分が悔しくて。 だから、つい言ってしまったんだ。 『コンラッドは、キスとかしたくないの?』って。 おれだって、別にしたくないわけじゃない。寧ろ…好きな人に触れてもらえるのは嬉しいことだろ? 嬉しいし…そりゃおれだって……したいけど。 だけど緊張しちゃうのは不可抗力ってやつで!身体がかってに緊張しちゃうんだからしょうがないだろ? 立ち止まって深呼吸。 血盟城の奥にある小さな泉の近く。なるべく木の陰に隠れて、城からは見られないような場所に立ち止まる。 大丈夫、周りに人気はない。 しっかりそのことを確認した後、勢いよく後ろを振り向いた。 「コンラッド!」 楽しそうに微笑んでいる人物の名前を呼ぶ。おれの後ろをずっとついてきていたコンラッドは、何も言わずにここまで連れてこられた。多分おれが何しようかなんて、お見通しなんだろ。 だからそんな楽しそうなんだろうな。 余裕たっぷりなコンラッドが、ちょっと悔しい。 「何ですか」 いや、ちょっとじゃなくてかなり悔しい。 なんだよ、おれなんか最早心臓バクバクでかなり緊張してるってのに。 おれには余裕なんて微塵もない。余裕のよの字もどっかにいってしまった。 悔しさのあまりコンラッドを睨みつけてしまう。 一歩踏み出してコンラッドに近づいた。 それでもコンラッドは楽しそうに笑うだけ。 おれだってしたくないわけじゃない。 好きな人に触れられること以上に、嬉しいことなんかないだろ? ただ、ちょっと…いやかなり、照れるだけで。 「……別にいいんですよ?」 顔を真っ赤にさせて、思わず俯きがちになってしまったらコンラッドがおれの気をつかうように問いかける。 「……おれはよくない…」 嫌なわけじゃないのに、出来ない自分が情けなくて思わず視界が潤んでくる。 どうしてこんなに緊張してしまうのだろうか。自分の身体なのに、コントロール不能で情けない。 「俺は、あなたがこんな反応してくれるの嬉しいけどな」 「…え?」 驚いて顔をあげたら、彼がおれの頬に手を添えた。 「俺のこと意識してくれてるんでしょう?嬉しい限りですよ」 「……でも、」 おれだって。おれだってコンラッドに触れたいよ。 そう言ってまた俯きがちになるおれの額に、唇を寄せた。 「……っ!」 そのことにおれは酷く動揺して、心臓は破裂しそう。 「コ、コンラッド…っ!」 「好きですよ」 満面の笑みでコンラッドが言う。突然の告白にまたおれの心臓は破裂寸前だ。 「ユーリが好きです」 「……いきなり何だよ」 「いえ、言いたかっただけです」 本当に照れて、視線を逸らしながら言ったら、コンラッドがまた楽しそうに笑った。 「好きです」 「…わかったよ」 「ユーリが好きです」 「わかったってば」 「好きだよ」 「おれも好きだよ!」 「それで十分です」 コンラッドが嬉しそうに笑った。…なんか前回の繰り返しのような気がするぞ…。 大人の余裕たっぷりな笑顔のコンラッドが本当に腹が立つ。 悔しくて、少し腹が立って。 「コンラッドっ」 コンラッドの腕を思いっきり引っ張る。少し体勢を崩した彼に背伸びをして近づく。 勢いに任せて、彼の唇に自分のを重ねた。 「おれだってやるときゃやるんだからな!?」 本当に恥ずかしくて、彼の顔が見れなくて、自分の顔は真っ赤で、なんかもう目が充血して潤んできて、俯くしかなかった。 頭上から、まいったな、と呟くコンラッドの声が聞こえる。 「…ユーリ」 呼ばれると同時に抱きしめられる。 彼の胸に顔がうずくまる。…聞こえてきた、彼の心臓の音。 「へ?」 「…ユーリの所為で俺の心臓破裂しそうですよ」 少しふざけたようにコンラッドは言うけれど、本当に彼の心臓はいつもより早い。 「…コンラッドも緊張したりするんだ」 「当たり前じゃないですか。俺だって人間ですよ?」 「だって…だっていつも余裕だから」 彼の心音が、頭の中で響き渡る。こんなに心臓早くしちゃってくれてることが、おれとしてはとても嬉しい。 「…上辺だけですよ。内心は緊張しまくりで大変なんです」 苦笑しながら言う彼の言葉に、心底驚いて。 「コンラッドが?」 「俺がです」 「マジで?」 「マジです」 「ユーリといると、いつも心臓が破裂しそうだよ」 おれだけじゃないんだとわかると、とても嬉しくて。 「へへっ」 笑いながら彼の背中に腕を回した。 「大好きだよ」 「おれもですよ」 今までの不安も悩みも吹っ飛んで、嬉しくてしょうがない。 見上げたら少し困ったような、だけど嬉しそうなコンラッドの笑顔。 「ユーリ」 近づいてくる彼に、やっぱり緊張したけど、コンラッドも緊張してるんだろうなぁって思ったら、少し気が楽になった。 心臓はバクバクで、やっぱり顔は真っ赤だけど。 好きな人に触れられて嬉しくない奴はいないだろ? ―――――――― もうよくわかんないから強制終了(ぁ |