『髪』 肩から垂れる長い髪の毛。 サラサラと流れるように波打つ。キラキラと輝く。彼の髪。 僕に覆いかぶさっているシンの髪の毛は、いつものリボンで纏められていなくて、重力のままに僕の元に落ちてきている。 眼鏡はとうに外されていて、汗ばんだ額が眩しくて、いつもとは全然違う彼の表情がたまらない。 僕だけを見て。僕だけを呼んでよ。 彼の首元にしがみ付くように腕を回す。 シンがどこにも行かないように、彼から与えられる感覚に耐えるために。 少し乱れた髪の毛の1本1本も、愛しい。 肌に触れる彼の髪にも、反応してしまう。 「……っ!シン…っ!!」 「シヴァ…っ」 名前を呼び合うと同時に、僕の唇に落とされる、シンからのキス。 優しいキスを感じながらも、段々と視界は白くなっていった。 髪を撫でられている感触に気がついて、意識が覚醒する。 窓から差し込む太陽の光を見る限り、今は朝。 あのまま寝ちゃったんだ……。と、ぼんやりとした意識の中で考える。 前髪がサラっと撫でられる。視界に少しだけ入った手をおっていけば、そこにいたのは眼鏡をかけて、髪をリボンで括って、ベッドに座っているシン。 「目が覚めましたか?」 笑顔で問いかけられて、ちょっと照れる。 彼と迎える朝は、もう何度目なのか、覚えていないほどだけど、未だに慣れない。 恥ずかしいのと、照れくさいのと、一緒に朝を迎えたときのシンが、いつもよりかっこよく見えて不覚にもときめいてしまうのだ。 僕が顔を紅くして、何も答えないのを見て、シンは嬉しそうに微笑む。 相変わらず僕はシンに髪を撫でられていて。 それがまた恥ずかしくて、枕に顔を埋めた。 「…まだ寝るんですか?」 「……っ寝ないよ!起きるよ!…いい加減手、どけてくれない!?」 この状況で二度寝など、出来る筈が無い。 心臓がいつもより早くて、煩くて眠れるわけが無い。 撫でられている手が、気になって落ち着かない。 枕から少しだけ顔を出して叫ぶと、シンは笑うだけで。 「どうしてです?」 「どうしてって…。煩わしいからに決まってるだろ!」 ……っ! 叫んでまた枕に顔を埋める。 どうして僕はこうなんだろう。シンの手が煩わしいわけ、ないのに。 照れているからって、どうして僕は素直になれないのだろうか。 折角一緒に迎えた朝なのに、僕は平和に過ごすことは出来ないのだろうか。 こんなときくらい、素直になればいいのに…。 自己嫌悪で泣きそうになる。 「……そうですか」 そう言って離れたシンの手が、寂しくて。 本当に涙で目が潤んできて、自分が嫌で吐き気までしてくる。 「……なんて。それくらいで私が引くわけ無いでしょう?」 言うと同時に僕の旋毛に口づける。 「今まで散々嫌われてても、頑張ってずっとシヴァにアタックしつづけた私ですよ?今更コレぐらいで引かせていただくわけにはいきません」 また涙で目が潤む。 前から、嫌いだったわけじゃないって言ったら、貴方は驚くだろうか。 違う人の名前をずっと呼んでいても、最後に見ていたのは、気にしていたのは貴方だったなんて言ったら、貴方はどんな反応をするんだろう。 ……悔しいから、言わないけど。 「……我が侭だね」 「我が侭でなかったら今頃シヴァとこんな風になれてなかったでしょうからね。私が我が侭で本当によかったですよ」 返す言葉がなくて、枕をギュっと抱きしめる。 こんな素直じゃない僕でも、ちゃんと受け入れてくれるシンが、とても嬉しい。 「……シヴァ」 ……っ!! いきなり耳元に囁かれて驚いた。ビクっと肩が震える。 「な、何するんだよ!!」 涙目のままシンを睨みつけても、シンは臆してなんかくれなくて。 シンはそのまま僕の瞼に口付ける。 いつの間に眼鏡を取ったのか。シンは簡単に僕に触れてくる。 「ちょっ…っ!シン…っ!!」 変な気を起こしてるんじゃないかと、慌てて彼の名前を呼ぶ。 それに、これ以上されると僕の方が変な気になってしまう。 頬に触れた唇がくすぐったくて。 額に触れる唇に反応してしまう。 気づいたら僕はシンを見上げる体勢になっていて、シンは僕の上に覆いかぶさっている。 「やっと顔が見れましたよ。おはようございます、シヴァ」 こんな体勢で朝の挨拶をされても。 「……おはよう。シン」 応えるとすぐにシンが僕の唇にキスを落とした。 深い口付けに応えながらも、なんか悔しかったので、シンの身体に腕を回す。 リボンの先を引っ張って、髪を結いでいたリボンを解いた。 サラっとシンの髪の毛が垂れてくる。 髪を解いたシンが、色っぽくて好きだなんて、絶対言うもんか。 肌に触れる髪の毛が、気持ちよくて。 僕に触れるシンの全てが、愛おしい。 ―――――――― エロくしたーい。いや、だけどそんなに深くはエロくしない…っ! という感じで中途半端になったシンシヴァです。(笑/何 シンシヴァ布教中。シンシヴァ好きさんこの指止まれ!!(何 |