『距離』




きっと、見てるんだろうなぁなんて思いながら、冷たく笑う。
前方にはユダがいて。
ユダがいるということは、多分ユダに片思い中の彼もいるということで。

そう、彼の視線はいつもユダに向けられている。
彼が考えるのも、ユダのことばかり。

そんな彼に、少し苛立ちを覚えてしまう。
いつもいつもユダばかり。何故他のものをみようとしないの?
私はこんなにも、貴方の視線の近くにいるのに。

「ユダ」
声をかけて、ユダに近寄った。
「シン、どうかしたのか?」
「いえ、特に用事はないのですが…」

適当に繕って、ユダの隣に立つ。

見てるんでしょう?いつもユダを見ている貴方。遠くからユダばかり見ている貴方。
近寄ることが出来ないくせに。いつもその距離で止まってしまうくせに。
悔しいのならば、ここにくればいいのに。
ここにきて、ユダに話しかければいい。
…出来ないくせに。
ユダと彼の距離は、いつも縮まらない。
そんなんで、ユダが貴方を見てくれるはずがないでしょう?

「シン?」
「どうしました?」
名前を呼ばれて、笑顔をつくって答える。

ほら、貴方がいつもそこで止まるから、ユダの視線は私に向けられてばかり。

「調子でも悪いのか?なんだか様子が違うようだが…」
「何でもありませんよ。私は健康です」

心配されるのも、私。
心配そうな顔をしながら、頬に手を添えられるのも私。

それでいいんですか?


いいはずなんて、ないのに。



思わず自嘲的に笑ってしまう。
貴方が視線を向ける相手はユダ。貴方が想いを寄せる相手はユダ。
貴方はユダのことばかり考えていて、私なんて見てもくれない。

彼に近づけなくて。だけどどうしても彼の視界に入りたくて。
その方法がユダの傍に居ること。貴方がユダを見ている姿など見たくないのに。だけど貴方に見てもらうにはこうするしかない。

彼はいつも少しと置くからユダを見ていて、私はいつもユダ越しに貴方を感じる。


私と彼の距離はいっこうに縮まらない。


「シン?本当に大丈夫なのか?」
「…大丈夫ですよ」




ねぇ、少しは私を見てくれている?



いつもの通り少し遠くにいるシヴァに、そう心の中で問いかけた。








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ユダ→シン→シヴァ→ユダ!一方通行萌え!