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少し拗ねながら外を見ていたら、声をかけられた。 「イチゴとメロン、どっちがいいです?」 僕の気も知らないで、なんてお気楽な質問。 窓の淵に腕を乗せて、体重をかける。腕の中に顔をうずめた。 「……イチゴ」 答える僕も、なんだかなぁと思うけれど。 腕の中に顔を埋めている所為で声はくぐもっていたけれど、僕の答えはレイにちゃんと聞こえていたようで。 「イチゴですね。じゃあ僕はメロン食べようかな」 楽しそうな声が、癪に障る。どうしてレイはそんなにお気楽なんだろう。 僕の気も知りもしないで、そんなに一人で楽しんで。 「ほらシヴァ。イチゴカキ氷ですよ」 そう言いながらレイは僕の近くにあるテーブルに置いた。そしてレイのカキ氷も置いて、近くに座る。 「早く食べないと、溶けちゃいますよ」 そしてしゃりしゃりとレイがカキ氷を食べる音が聞こえる。 僕は、腕の中に顔を埋めたまま。顔をあげない。 「いいよ、別に」 「よくないですよ。溶けたら美味しくないじゃないですか」 なんて言いながら、レイはカキ氷を食べる。僕は腕の中に顔を埋めている所為で、だんだんと暑くなってくるけれど、そのまま顔を埋めていた。 顔を、上げたくないのだ。 「…暑くないですか?」 「暑いよ」 「それなら食べればいいのに」 「やだ」 レイが少しあきれながら聞いてきた。 「何怒ってるんですか?」 「別に、怒ってないよ」 今度は少し、苛立ちながら言う。 「怒ってるじゃないですか」 「怒ってないってば」 僕もつられて、少し投げやりに答えた。 レイが、ため息をこぼす。そのため息に、怯えてしまう。ビクっと身体が小さく震えた。 怒らせたいわけじゃない。嫌われたくない。 だけど、悪いのはレイだし。それに気づかないレイもレイだ。 とは思うけれど、レイは僕がどうして苛立っているのか分からないらしいし、そんな僕がレイにとってはうっとおしいかもしれない。 せっかくレイがカキ氷作ってくれたのに、それを食べようとしないなんて。 やっぱり僕って癪に障る?レイ怒っちゃった? 自分の考えに落ち込んで、余計に顔を上げられなくなる。 今レイはどんな表情をしているのだろうか。怖くて、見れない。 「シヴァ」 思ったよりも近くで声がして驚いた。いつの間にか、レイは僕の近くに来ていたらしい。 「顔を上げてくれませんか?」 強制するのではなく、お願いするようにレイは言う。 優しげな声で言われては、僕も逆らえない。 顔をゆっくりと上げると、レイの顔は本当に近くにあって。 レイの顔を見るのが怖くて、視線を下に向ける。 「何泣きそうな顔してるんですか」 笑いを含みながら、レイは言う。 からかわれているのかと思って、レイに視線を向けると切なそうな顔をしているレイと目が合う。 …レイだって、泣きそうじゃないか。 ずるいよ。そんな顔されたら、僕が怒ってたことも不安になってたことも全て吹っ飛んでしまうじゃないか。 「レイ……」 「ごめんなさい」 そう言いながら、レイは僕の肩に額を乗せた。 僕は驚きながらレイの顔を覗き込もうとするけれど、レイに抱きしめられている所為で見えない。 「どうして?」 「ごめんなさい。どうしてシヴァが怒っているのかわからないんですけど、僕が何かしたんでしょう?だから、ごめんなさい」 レイも、僕みたいに不安だったのかな。なんて思う。 僕が怒っているのは分かるけれど、どうしてか分からなくて。 そりゃあ僕が怒っていたのはレイの所為だったけれど、それも些細なことで。 僕がレイを本気で怒るはずがないのに。 「いいよ。それに僕もごめん。カキ氷、溶けちゃってるね」 顔を上げて見えた僕のイチゴカキ氷は半分くらいとけて、水になってしまっている。 せっかく作ってくれたのに。本当にごめん。 「いいんです。カキ氷なら、また作りますから」 「それじゃあレイの分は僕が作るよ」 そう言ったら、レイが顔を上げて。 嬉しそうに微笑んだ。 「ありがとうございます」 その表情に思わずときめいていたら、レイがゆっくりと近づいてきた。 メロン味が口の中に広がって、なんだか嬉しくなった。 『メロン味』 ――――――― 最近レイシヴァ書いてないなーと思ったので。 |