『それでも』


「…何の冗談?」
そう言って問いかける貴方に、葉と葉の間から漏れた太陽の光がところどころにあたって、眩しかった。
目の前には訝しげな顔をしたシヴァ。後ろには木の幹。葉の擦れる音なんかも聞こえて、自然豊かでとても落ち着く場所だろう。
こんな状況じゃなかったら。

私は、自嘲的に笑うしかなかった。

「冗談でこんなこと言うように見えます?」
「……本気で言ってるの?」

驚いて目を見開いて私を見つめる貴方。
いつもは睨んだ顔しか向けられてこないだけに、この表情は新鮮だ。
だけどやっぱり、貴方の問いかけが悔しくて。

解ってはいる。
貴方にとって、私は邪魔な人物。ユダを想っている貴方は、ユダと仲がいい私が気にくわないのだろう。
貴方の視線はいつもユダの元。私の向けられても、それは睨むだけ。
解っていた。こんなことをいきなり言ったって、受け入れては貰えないだろうと。
だけど、解ってはいたけれど。私の気持ちに微塵も気づいていなかったのかと思うと、悔しくて。

「本気ですよ。…貴方が、シヴァが好きです」
真っ直ぐに貴方の瞳を見るのは、拒絶されるのではと辛かったけれど、もてる力を全て使って瞳を見つめる。
この想いに、偽りはないのだから、胸を張ればいいのに。

それが出来ない自分が、また憎らしい。

否定されるに、拒絶されるに決まっている。それが、怖くて。


「僕はユダが、」
「知ってます」
その言葉を聞きたくなかったから、思わず遮ってしまう。

知ってる。貴方が誰を想っているのかは、十分わかっているから。
貴方の口からは、告げないで。

「知ってます。貴方が…ユダを想っていることは……。それでも、それでも私は…っ!」
好きなんです。貴方が、ただ好きなんです。

「……それでもいいの?」
「え?」
シヴァの表情からは、何も読み取れない。

「僕がユダを好きでも、それでもいいの?」
何故そんなことを聞くのだろうか。

私の気持ちは、そんな簡単に揺らぐものではないと、貴方は気づけないのですか?

「……それでも私は貴方が好きです」

貴方が誰を好きでいようと。貴方が誰を見ていようと。
私の気持ちは、変わらない。

思わず俯いてしまった。情けない。自分から告白しといて、こんなにへこむなんて。

「いいよ」

シヴァの明るい声に驚いて、顔をあげる。
見えた貴方の表情は、いつもは向けれない、笑顔。初めて向けられた笑顔。

「僕がユダを好きでもいいっていうなら、付き合ってもいいよ」

悪戯っぽく、貴方は笑う。

「ねぇシン。…僕が好きなんでしょ?」
そう言って、私に近づく貴方。
鼻が触れ合いそうになる距離。

「……好きです。シヴァが、とても」
そう答えて目を瞑って口づけることしか出来ない自分が、腹立たしい。



寂しい気持ちは解る。私も貴方と同じ、片思いだから。
私はただ、貴方が好きなだけ。




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ビズログDVDで鳥海さんが、『シヴァは、「貴方が好きですから」「でも僕はユダが好きなんだよ、それでもいいのかい?キミは一番じゃないんだよ?」「それでもいい」「だったら一緒にいよう」結構ね、寂しがり』
と、おっしゃってたので(笑)こんなんなのかなぁと想像したらシヴァがなんだか腹黒いことに(笑)
なんかシヴァシンっぽーい。