嫌いだよ。
お前なんか、嫌いだ。好きじゃない。
好きになっちゃ、いけない。

シンがユダと付き合ってるって知ってるから、だから。
好きになんかなっちゃいけないんだ。
こんな感情、持っちゃ駄目なんだ。
叶わない恋ならば、最初から想わない方がいい。

なのにどうして、貴方は僕の前にいるの?

「シヴァ」
笑顔で僕の名前を呼んで、僕の向かいに立つシン。
彼を見ると胸が痛む。こんな想いをしたくなくて、彼を避けていたというのに。
彼のほうから近づいてくるなんて。

ずるい。
そして僕は、シンに振り回されてばかり。

「どこに行くんですか?」
「そんなの、シンに関係ないだろっ」
僕の気持ちを知りもないで、そう笑いながらたずねてくるシンに思わずムッとして怒鳴り返す。
僕に話しかけないで。僕に近づかないで。僕にかまわないで。

シンに振り回されている自分に、腹が立つ。

「方向が一緒だったらご一緒しようかと思ったんですけど…」
「なんでご一緒しなきゃいけないんだよ?僕はシンと違って忙しいんだから、つまらないことで話しかけないでよね」

そして僕はまた意地をはる。
一緒にいたくないはずないのに。本当は一緒にいたいのに、だけど、一緒にいると僕の気持ちが気づかれそうで。
気づかれれば、全てが終わりだ。
今まで通りに、接することなんかできるはずがない。

嫌いだよ。お前なんか、大嫌いだ。
そう自分に言い聞かせる。

「私はただシヴァと一緒にいたかっただけなんですけど…」
どうして貴方は、僕が期待てしまうようなことばっかり言うの?

僕のことなんか、好きじゃないくせに。
そんなこと言わないでよ。

「…っお前なんか、嫌いだ…!」
嫌いなんだ。

そう何度も自分に言うけれど。

「シヴァ…」
寂しそうにそう言うシンの声に、僕は泣きそうになる。


嫌いだよ。嫌いなんだ。嫌いに、させて。


期待を持たせないで。貴方が僕を好きだなんて、思わせないで。
話しかけないで。近づかないで。

お願いだから、名前を呼ばないで。



「すき、だよ…っ」




この想いはとめられない。






『それでも好き。だけど好き』





―――――――
シンが好きでしょうがないシヴァさん。