「やだ」 「シヴァ…」 私の声を聞きたくないと、シヴァは耳をふさいだ。 「嫌だ嫌だ嫌だ」 首を振って、私の言葉を拒否する。 「すいません、シヴァ…」 私はそんなシヴァに謝ることしか出来ない。 シヴァの目には涙が溜まっていて、今にも零れ落ちそう。 そんな風にしているのは私なのだと思うのと、胸が痛む。 「すいません…」 「謝らないでよ…!」 叫びながら、私を睨む。耳を塞いでいるけれど、聞こえているのだろうか。 それとも先ほどから私がこれか言わないから、聞こえずとも叫んだのだろうか。 わからないけれど、やはり私にはこれしか言えなかった。 「すいません…」 「うるさいうるさい!」 零れ落ちた涙をぬぐってあげたいけれど、私には彼に触れる資格はない。 頬を伝う涙を見つめることしか出来ない。 「うるさいうるさい!シンのバカ!!」 「…すいません」 涙が溢れる瞳が、私を睨みつける。 「あれだけ僕のこと振り回しといて、何なのさ…!?」 「…すいません」 謝る私が本気で許せないらしい。シヴァは私から視線を逸らして、つぶやいた。 「もういいよ、シンなんか、大嫌い…」 シヴァはすべてを諦めたように、どこか遠くを見つめる。 耳を塞いでいた手も、脱力して、落ちた。 そしてもう一度、呟く。 「シンなんか…大嫌いだよ」 シヴァの言葉が、私の胸に刺さる。 今までどんなに怒っても私のことを『嫌い』と言わなかったのに。 どんなことがあっても、その言葉だけは言わなかったのに。 そんなシヴァが言ったのだ。嘘ではないのだろう。 私はそう想われることを望んでいたはずなのに。 実際に言われると、胸がはち切れそうで、苦しくて、辛い。 衝動を抑え切れなくて、思わず彼の腕を掴んで自分の元に引き寄せてしまう。 目を瞑って、口付けた。 ああ、私はどうしてこんなことをしているのだろう。 自分に問いかけても、答えは出ない。 最初は驚いて固まっていたシヴァもわれに返ったらしく、私を思いっきり押し返した。 その力に逆らえず、私はシヴァから離れる。 とても悲しそうな、そして辛そうな顔で、私を見る。 「いい加減にしてよ…!」 涙は、止まらない。 「すいません」 シヴァの顔が見れなくて、私は思わず俯いた。 シヴァの声が、響く。 「シンなんか、大嫌いだ…っ」 貴方にそんな顔をさせてしまう自分が、私も大嫌いですよ。 ただただ謝ることしか出来ない自分が、大嫌いだ。 『全てが、大嫌い』 ――――――― 告白しておきながらフッたシンさんの話。(笑/何 好きだけど何かが駄目だったらしいです。いや、たぶん何か些細なすれ違いでシンが考え込んじゃっただけだと思うんですけど。そんな話の一場面。 ジャンヌのDOLLS聞いてたら失恋話書きたいなぁと思ったんです。(笑)それだけです。 |